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社会の狭間のノモスの探求

直球な表現しかないと思われがちな英語にはどのような敬語があるのか?

敬語の英語

言語っていうのは不思議なものですが、日本人は身近な外国語である英語すらも誤解しているところがあります。英語にはストレートな言い方しかないと思いがちですが、実際には英語にもまわりくどい言い方はあります。「敬語の英語」を紐解くと、いかに日本人が英語を単調な言語だと思い込んでいたかがわかります。

なんでもpleaseを使ったらいいわけではない

そもそもpleaseとはいったいどういう意味か?「〜してください」という意味だと思っている方って多いのですが、本来の意味は「〜を喜ばせる」。「if it please you、もしそれがあなたを喜ばせるならば〜」っていう言い回しを省略して「please、〜してください」になったのです。この意味を前提として、例文「open the window,please」を訳してみると、とても奇妙になりますね。

「もしあなたが喜ぶなら、窓を開けて」

手間がかかることをいったい誰が喜ぶでしょう?皮肉だと受けとめるのではないでしょうか。このように、なんでもpleaseをつければいいわけではないのです。

また、pleaseは強い命令の意味もあります。「open the window,please」は「窓開けてよ、わかった?」という感じになり、誰でもカチンときますよね。もっと丁寧な言い方をしたいと思ったなら「please」より「could you」を使うのがベストでしょう。意味は「〜してもらえないですか」です。日本語で見てもいかに柔らかい言い方かわかりますよね。

いいたい物事に、クッション言葉を置く

「恐れ入りますが〜」「もしよろしければ〜」というクッション言葉を日本語ではよく使います。ストレートな表現って言いにくいですよね。実は、英語でもクッション言葉はあります。

I don't think I can do it、できるとは思わない

I wonder why he could find it、なぜ彼は見つけることができたのかな

If it's not too much trouble,could you show me a different goods、お手数でなければ他のものを見せてくれないですか」

などなど表現をやわらげるクッション言葉はいくらでもあります。どんな言語でも相手を気遣う言い方ってあります。それをどのように表現するか?によって言語の特性って表れてきますよね。

言葉そのものを言い換える

クッション言葉だけでは対応できない言い方もあります。いいたい物事に対して柔らかい言葉をくっつけるだけでなく、言葉そのものを言い換える技法も英語にはあります。

「You're welcome、どういたしまして」を例にとりましょう。決して悪い言い方ではないのですが、さらに上品な言葉があります。

it's my plesure、それは私の喜びです(直訳)」

ただ、「my plesure」は自分にとって嬉しいことにのみ使う言葉。「I'm sorry that I broke your car」という自分にとって嫌になることに対する返答には次の表現を使うべきです。

Never mind、気にしないで」

That's alright、大丈夫だよ」

ポリティカル・コネクトス 差別や偏見を含まない言葉を使う

20年ほど前から日本では「看護婦→看護師」「肌色→うすだいだい」「土人→先住民」などの言葉の置き換えが進められました。差別的な表現をなくしてより中立的な言葉を使おうという試みですが、このような言い換えをポリティカル・コネクトスと言います。多民族国家であるアメリカで始まったこのポリティカル・コネクトス。人種や性差だけでなく、もっと軽い差別に関することがらでも使われます。

「midget(チビ)→rather short(背が低め)」

「liar(嘘つき)→less than honest(正直でない)」

「unsociable(非社交的)→keep to herself(こもりがち)」

「stupid(愚か)→not a deep thinker(深く考えない)」

「cheap(安い)→frugal(質素な),thrifty(倹しい),economical(経済的な)」

終わりに

日本人には英語の表現って「矢のように先端がとがった物言い」しかないと思われがちです。物怖じせず直球にズバズバ伝えるべきことを伝える、それが英語って思いがちですが、実際は英語にも丁寧な表現なんていくらでもあります。

言語というものは、国や地域によってまったく異なっていて、たいへん奥深いものがあります。私たちが話す日本語は主語が頭にくる言語ですが、アラビア語のように動詞が頭にくる言語もあります。 けれど、言葉は違っても使うのは同じ人間。言葉が違ったからといって「相手を思いやる」「相手を尊重する」といった基本的な考えはまったく変わりません。

 ジャパンタイムズ出版の敬語の英語は本当に読みやすい本です。丁寧な英語とは何かをすぐ読めて十分理解できるように5ページほどにまとめ、残り150ページを見開きで1フレーズごとに詳しく解説しています。わかりやすい例文も載っているので、英語嫌いの方にもスラスラと読めるようになっています。ときどき小話をはさみ込んで、ワンストップできるのも嬉しいところ。英語を習いたいという方には是非読んでいただきたい一冊です。 

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